キジがいない桃太郎

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キジがいない桃太郎

「桃太郎だコレぇぇぇーーー⁉︎」 「あれま、桃から赤ん坊‼︎」 「元気な子、桃太郎って言うのかい?」 誰かに拾われた感覚がしたので全力で桃を割って外に出てみると、おばあさんが包丁で桃を切ろうとしている所だった ギリギリセーフ、このまま下に包丁いかれたら、また死ぬところだったぜ・・・ どうやら俺はお伽話(とぎばなし)の桃太郎に転生したようだ。俺は悪友の影響でアニメやゲームやラノベが趣味である。転生作品も何作か観た事がある なので転生した主人公がやるべき事はある程度心得ているつもりだ 大体は第二の人生を異世界で(まっと)うする もしくは最終的に元の世界に帰るが転生した時の影響が現実世界にも何らかの影響を及ぼしていて・・・とまぁそんな感じか・・・ どっちにしても異世界転生では前世での記憶を生かして成り上がるのが定番かな? しかし桃太郎か・・・日本人なら誰もが語れる超有名お伽話(とぎばなし)の主人公に転生したのはツイている。この後の展開、すべき事、全て頭に入っている 余計な事はせず、お伽話(とぎばなし)の通りに進めれば、ヒーローになって大金持ちの未来が待っている・・・ その後すくすくと成長した俺事、桃太郎はおばあさんからきび団子をもらい犬と猿を家来にした だが何故かキジだけは何処を探せど見当たらず、俺はキジを家来に出来ないまま鬼ヶ島に来た キジがいなくても物語に大きな影響は無く、俺達は鬼を圧倒していた 「ちょっと桃太郎の話と違うが、なんだか上手くいきそうだな。これはこれでアリなのか?」 俺が安心したその時だった ザッ・・・ザザ・・・ 虎の剥製(はくせい)を頭から被って、さながら虎の全身毛皮のように身につけている鬼が奥から出てきた なんなんだぁアイツは、桃太郎に出てくる鬼っていったら赤鬼とか青鬼くらいだろう・・・ 虎毛皮の鬼はミカンを猿にぶつける すると犬は猿に向かって吠え出した。猿も威嚇(いかく)しだし、そのうち喧嘩をしだした 犬は柑橘系の匂いが苦手、しかも犬と猿はそのものズバリ犬猿の仲、ちょっとした事で喧嘩してもおかしくはなかった・・・ ここにキジがいれば、また話が違ったんだろうが・・・ 「お、お前達、今は喧嘩している場合じゃ・・・」 バシィィィィィィ‼︎‼︎‼︎ あっという間だった・・・ 虎毛皮の鬼は仲間割れした犬と猿の隙を突いて2匹を殺した それから先はよく覚えていない。気づくと俺は犬と猿の亡き骸を抱えながら、おじいさんとおばあさんの家に戻っていた 「おじいさん、おばあさん、もう大丈夫です鬼は退治しました・・・」 何だコレ、俺の意思と関係なく桃太郎が喋って・・・ 「おお、桃太郎辛かったね頑張ったね」 「犬も猿もコレで浮かばれるじゃろうて」 プツン テレビの電源を落とすように視界が突然暗くなる どんぶらこ、どんぶらこ 気づくと俺は桃だった
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