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出会い
「うわー、これ、何だろう」
保育園の帰り道、夏瑛は目を輝かせた。
青々と葉の茂った木の幹に、黄金色をした、ふしぎな虫を見つけたからだ。
生きているのかな、こわごわと近づき、そっと触ってみた。
手のひらにのせてみると、細かい毛の生えた細い足も、おなかの模様も、大きな目も、形は虫なのに、中身はからっぽ。
すっかり気に入った夏瑛は、あちこち探しまわってたくさん集めて家に持って帰った。
「なにこれ! もう、蝉の抜け殻なんて拾ってきちゃだめでしょ!」
冷蔵庫からジュースを出して飲もうとしていたとき、向こうの部屋から大きな声がした。
帰宅した母が、夏瑛の拾ってきた不思議な虫を見つけたのだ。
「いやーっ」
泣き叫ぶ夏瑛にはまったく動じず、母はほうきで掃きあつめ、全部捨ててしまった。
宝物にしようと思ってたのに……
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