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都心から電車で20分あまりの住宅地にその家はあった。
似かよった分譲住宅が並ぶ坂道をのぼりきると、突き当りに突然、雑木林があらわれる。
はじめて訪れた人はみな感嘆の声をあげる。
東京の住宅地の一角に、避暑地さながらの風景が忽然とあらわれるのだから無理もない。
雑木林の奥はブロック塀で仕切られ、その先は崖だった。
そのため、木々の間からは空しか見えない。
その雑木林のとば口に平屋建ての家が一軒建っている。
扉も、壁も、窓の桟も白一色。
屋根は深緑色。
玄関脇の壁には蔦がからまっている。
まるで外国映画に出てくるような雰囲気の家だった。
夏瑛は、はずんだ息を整えてながら呼び鈴を押す。
家から15分余り。自転車でここまでやってきた。
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