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飲み進めていたビールが、あと一口ぐらいになった。もちろん飲み足りないけど、一杯に留める、と思って入店している。
でも、今日の彼なら、もう少し隣にいても苦にはならなそう。
「次、何飲みますか?奢らせて下さい。」
「レモンサワーを。でも自分で頼みます。」
「…ここのレモンサワー、美味しいですよね。」
「はい、レモンサワーを飲みたい時は、ここに。」
「ワインの時はヒロさんのとこ?」
「そうです。」
「はは、酒飲みさんだ。」
ゆるりとした穏やかな時間だ。心地良い。意外にも静かに会話のキャッチボールが弾み、お酒も進む。昨日のような青臭さを前面に出してこず、私が欲しいような話題を提供してくれる。
気がつけばレモンサワーも二杯目になっていた。
「お酒は、いつもこの辺ですか?」
「そうですね。仕事帰りに、サクッと飲めるようなところにいくつか目星をつけていて。」
「良かったら、お店、教えましょうか?」
「え、嬉しいです。詳しいんですか?」
この街が地元だという彼は、スマホ片手にいくつもお店を教えてくれた。行ったことがあるお店もあったけれど、知らないお店もたくさんあって、大収穫だ。
「ありがとうございます!行ってみます!」
「うん、俺もよく行ってる店ばっかなんですけど。」
「ふふ、楽しみが増えた〜。」
「…どこも女性ひとりで入っても大丈夫なお店だと思います。」
「そう言って頂けると、行きやすいです。」
早速今週どこか行ってみよう。これで仕事もがんばれそうだ。
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