m'01

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「おつかれさまー!何にする?生でいい?」 「こんばんは、ヒロさん。ビール、お願いします。」 「はいはい、特急で出すね。ちょっと待ってて。」 三軒茶屋にあるこぢんまりとしたワインバー『cocoon』。店内は白が基調、ほぼ間接照明で薄暗いけど、どこか温かみのあるお店だ。マスターのヒロさんがひとりでまわしている。 時間がゆっくり流れる雰囲気と、美味しいお酒、美味しいご飯、何よりお財布に優しいのが気に入って、半年ぐらい通っている。 30歳目前の女性がひとりで飲みに来ても、笑顔で迎えてくれる、大事なお店のひとつ。 「はい、お待たせしました。」 黄金色に煌めく液体が並々と注がれたグラスがカウンターに置かれた。 いただきます、と一言添えてから喉に流し込む。 「うん、今日も良い飲みっぷり。お腹は?」 一口でグラス半分まで一気飲みしているところを指摘されても何も気にならない。笑顔で料理の注文を済ませた。 週末の金曜日だからか、お店の中は賑わっている。顔見知りのお客さんもいて、会話を楽しみながら時間を過ごす。最高の贅沢だ。 「ヒロさん、私次、ワイン飲みたいです。白の気分。オススメありますか?」 「えーっとね、今日はオススメのチリワインがあるよ。ボトルで2000円。」 「え、一人で飲みに来てる女にボトルを勧めます?」 「ペロリだと思うけど。ま、飲み切れなかったら持って帰ればいいんじゃない?」 「うーん、ま、確かに…グラスで何杯かもらうよりリーズナブル、ですかね?じゃあお願いします。」 まぁ、明日は休みだし、溜めてた家事をこなさなくちゃいけないぐらいで特に予定はない。少しぐらい酔っ払って帰っても問題なさそうだ。 今週一週間の頑張りを自分でねぎらいながら、ゆっくり楽しもう。全部飲めそうになかったら、ヒロさんにシェアしたっていい。
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