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そんなことを思いながら飲んでいると、後ろのテーブル席の賑やかさが気になった。若い男の子のグループ。小さなホールケーキをみんなで突いているところを見ると、何かのお祝い? 「ほらーもうお酒ないよ!ユウ!注文してきて!」 「なんでだよ!俺の誕生日だろ!お前らが行けよ!」 「だって一番カウンターに席が近い。よろしく主役。白ワインが飲みたいなぁ。」 今日の主役らしき男の子がカウンターに近づいて来る。大学生ぐらいだろうか。私も人を集めて誕生日会を企画したりしたなぁ、なんて物思いに耽る。もう、しばらくない話だ。同じ齢の友人達は、家庭を持つ子も増えてきた。 「ヒロさーん。オーダー良いっすか!白が飲みたいんだと!うまいのなんかない?」 「あー、ちょっと今、火使っててキッチン離れられないなー。ヤマちゃんが飲んでるの、どうかな。勝手に持ってってもいいけど」 カウンターから少し奥まったキッチンに引っ込んで、姿が見えないヒロさんから、ホールに声が飛んできた。掛け合いからするに、この男の子は気の置けないお客さんなんだろう。 「ヤマちゃん…?えっと…。」 カウンターに近づいてきた主役が、こっちを見た。目が合うと、何かを見つけたような真ん丸な目をしている。 「はい、ここではヤマちゃんと呼ばれています。良かったら、一杯試しますか?私一人じゃ、飲み切れそうにないので。 今時の男の子らしい、スラッとした体型に整った顔をした青年だ。黒髪にマッシュヘアー、まるで雑誌から出てきたみたい。少し迷った顔をしたけれど、すぐに笑顔に変わった。表情がコロコロと変わるんだなぁ。 「じゃあお言葉に甘えさせてもらいます。」 どうぞ、と言いながらボトルに残ったワインをグラスに注ぎきった。ヒロさんへのシェアはまた今度だ。
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