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「ヤマちゃん、いらっしゃい。今日もお疲れ様。いつもの?」
「こんばんは、ヒロさん。おじゃまします。生ビール、お願いします。」
「りょーかいです。ちょっと待っててね。」
待っててだなんて言うけれど、すぐに出てくるのを知っている。ピカピカのグラスにサーバーからビールが注がれるのをじっと眺めていると、横から声をかけられた。
「ね、約束。次に会ったら名前教えてくれるって言ってたでしょう?」
ああ、そんなこと言ってたっけな。ヤマちゃんでいいのに。ってゆーかなんかやたら距離つめてきてませんか?いつの間にか自分のグラスを片手に隣に座ってるのはなんなんだろうか。ち、近い。身体ごと、完全にこちらを向けている。
「ユウ、お疲れのお姉さんにマシンガントークはいただけないんじゃない?はい、ヤマちゃん。お待たせ。ビールどうぞ。」
「いや、だってさ、ずっと待って…」
「お疲れ様です。いただきます。」
話を遮って、ビールを喉に流し込んだ。おいし。やっぱりこれがあるから頑張れる、私。
「ヤマちゃん、明日は休みだよね?今日もゆっくりしてってね。」
「ありがとうございます。軽く摘めるもの頂きたいです。お任せしてもいいですか?」
「オッケー、用意します。」
あー、ちょっとしくじったかも。ヒロさん、キッチンに行ってしまった…から、またふたりになっちゃった。隣からすごい視線を感じる。
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