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コンビニ弁当にも飽きてきたなー、なんてボヤくと、毎日cocoonでトマトチーズパスタを続きながら不満を零していた時を思い出して、やっぱりまだ彼女を忘れられていない自分に気づく。
ま、忘れられてたら、こんなコンビニ通いしないで、元の生活に戻れるんだけど…。
コンビニから自宅に戻って、スマホを見るとメッセージアプリに通知があった。
『堂本くん、こんにちは。久しぶりです。堂本くんの都合が良い日、食事に行きませんか?一緒に行きたいところがあります。』
あまりの驚きに目を見張った。彼女からメッセージが届くのなんてどのくらいぶりだろう。
彼女の中から自分の存在が消えていないのが嬉しい反面、意図が見えなくて、怖い。
なんで誘われてる?以前のようなラフな飲みの誘いではないことは確かだろう。
夜な夜な、彼女の影を探してcocoonに通っているのがバレた?
もし、バレていたら我ながら気持ち悪すぎる。纏わりつくなとかそんな話か。…流石にそんな物言いはしないか。優しく引導を渡すつもりなのだろうか。
嫌だ。
一瞬でも彼女のことを忘れたいなんて思ってしまったから、バチが当たったのか。
苦しくったって、情けなくったって、まだ、このまま彼女のことを想っていたいんだ。
約束を断って会わなければ、好きでいることを咎められることもないか。
でも、俺が、彼女からの甘い誘惑を断れるわけもない。
意を決して、スマホに指を滑らせた。
『今週の金曜日なら、いつもの時間に行けそうです。』
画面越しに、震えが伝わらなければいい。
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