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ジム仲間
有島敬と間宮俊は同じスポーツジムで知り合った、ジム仲間である。
二人とも既に現役をリタイヤした70歳代前半であり間宮が一つ上で74歳になる。
「・・風見さん、今頃どないしてるやろな?」
風見とは、有島と間宮の共通の知人であり、一年ほど前までは同じスポーツジムの仲間でカラオケ仲間でも有った。
そもそも認知症の奥さんを世話する風見は、ヘルパーさんが奥さんを迎えに来るデイサービスの日だけを限定として、スポーツジムを利用していたのである。
そして、ジムが終わるとカラオケ喫茶に足を運ぶといったアクティブ爺さんだ。
「・・そやな、もう一年になるな・・『ジムを止めるのは将棋会館に通うからや』とは風見さん本人から訊いてはいたけど、何がホントの理由なのか・・よう分からんな」
有島がジムに通い始めた時には、既に間宮と風見はカラオケ仲間でもあった。
それまでの二人がどれほどまでの親しい間柄だったのか、想像出来ない有島は隣のマシンで早歩きする間宮に続いて問いかけるのだった。
「・・と言うことは・・間宮さん等が毎週行ってはるスバルには風見さんは来てない、と云うことですか?」
「・・風見さんが? スバルにかいな? そんな、もう来る筈無いわ、なにせキープしていた焼酎も持って帰ったって、ママが言うてたもんな」
有島の疑問に間宮はきっぱりと言い切った。
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