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隣がいい
大学に入ってから始めたDVDレンタル店でのアルバイトはいつも日付が変わってから終わる。なのにバイトが決まった当時、私はまだ車の免許を取っていなかった。だから通勤手段は自転車一択。田舎の帰り道は人気が少なく不安だと愚痴った私に助け船を出したのは、6つ年上の幼なじみだった。
「咲ちゃんさえよければ帰り迎えに行くよ」
「え、でも久志くん、仕事は?」
「しばらく在宅だから問題ないよ。最悪隆也もいるし。なあ?」
「はあ?」
ただし期間は免許を取り、車を買うまでの間だよ、と久志くんは言った。
バイト代から自分で使う分を引き、中古の軽自動車を買うとして……親が援助するといった金額を差し引いても2年くらいはかかる。そんなに長い期間、久志くんを拘束するのは申し訳ない。大丈夫、と言ったが話は両家の親にも伝わった。
「送ってもらえばいいじゃない」
「いやでも、2年だよ? 悪いって」
「最悪原付の免許を取ればいいだろ、スクーターなら父さんのツテで少し安く売ってもらえる」
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