隣がいい

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 久志くんに車で迎えに来られていたら、隣にいるから泣いているとバレて「どうしたの?」とあの優しい声をかけてくれたと思う。  隆也は私に無関心だし、ヘルメットをしているから泣いていてもバレない。 「動くぞ」 「……うん」  信号が青になったらしく、エンジンのけたたましい音と共にバイクが動き出した。  しばらくしても涙は止まらず、ついにしゃっくりまで出てきた。必死に隆也の背中にしがみつくも、ひどくなるばかり。止まれ止まれと願えば願うほど、溢れてくる。 「走りながらなら、大声出しても案外聞こえないぞ!」 「……え」 「独り言! 気にすんな!」  随分と大きな独り言だなあ。さすがの隆也も気づいたらしい。  確かにバイクのエンジンと風を切る音、フルフェイスのヘルメットの効果も相まって声は聞き取りづらいかもしれない。  スーっと鼻から大きく息を吸いありったけの気持ちを吐き出す。 「彼女がいるのに他の女の子に思わせ振りな態度をとるなああああ!」 「!」 「かっこよすぎるんだよ! 久志くんのバーカ!」 「……」 「でもっ、そんな久志くんが……大好きだったんだからあ!」
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