隣がいい

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 納車前最後のバイトの日、隆也はバイクではなく久志くんの車に乗って現れた。私の指摘が不服だったらしく、理由は以上、とふてくされている。まあ車で来た理由には納得して出発したものの、やはり車に乗る隆也の姿には違和感がある。バイクではいつも前にいる隆也が隣にいることも、違和感が強い理由かもしれない。 「それ飲んでいいよ」 「え」 「ココアじゃなくて、ノンシュガーだけど」 「……ありがと」  顎先でさしたドリンクホルダーには久志くんがいつも買ってくれたココアじゃなくて無糖カフェオレのショート缶がささっていた。  お礼を言ってから開けて口に含む。ミルクの風味が広がって美味しい。 「……おいしい」 「やっぱりそっちがよかったんだな」 「えっ」 「ココア飲んでるとき、たまに変な顔してたから」 「気づいてたの?」 「まあ何年幼なじみやってると思ってるんだって話」 「今二十歳だから……軽く15年くらい?」 「だな。咲子が兄貴に片想いしていた期間より長い」 「は、はあ?!」
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