隣がいい

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「それ見た時、正直イラっとした」 「は、何で」 「好きだったから」 「!」 「だった、じゃないな。今も好きだよ。咲子のこと」  突然の告白に胸がバクバクと激しく動いて、顔には熱が集まる。  ずっとそばにいたのに、全然気づかなかった。いや、私は隆也のことを見てすらいなかった。ここ数年は久志くんだけを追っていたのだから。   「……って、急に言われても困るよな」 「あ……えっと」 「でも俺はずっと待ってたんだ。お前が兄貴からちょっと目を逸らすタイミングを」 「……」 「今すぐ返事が欲しいわけじゃない。つーか、今返事するならぜってーごめんなさいだろ?」 「ま、まあそりゃあね」 「だから、もうちょっと時間くれよ」 「て、言っても私もう車が来るから送って貰わなくてもいいんだけど」 「わかってる。だから俺が送迎を続けられるめっちゃナイスなアイディアを発表します」 「は?」  と言いながら隆也は後部座席に置いてあった鞄を前に持ってきた。あれ、何か普段のより大きいな。ゴソゴソと手を突っ込んで出したのは、黒色のシャツ――私がバイト先で着ているのと同じユニフォームだった。
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