隣がいい

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 一人娘の身を案じる父と母、さらには久志くんの両親からも「夜は暇してるみたいだから使ってやって」と背を押され、送り迎えをお願いすることにした。  ただ、送ってもらうだけでは申し訳ないからとガソリン代の一部を負担すると申し出た。対等、とまではいかないけれど、甘えっぱなしは嫌だった。好きな相手だから、余計に。  そんな生活を初めてそろそろ1年半。今日もバイトを終え、駐車場で待っていると見慣れた青色のコンパクトカーが入って来た。  そばで止まった車に近づき運転席を確認すれば、優しく微笑む久志くんがいる。 「ありがとう久志くん」 「お疲れ様。はい、これよかったら」 「わ、ありがとう」  久志くんがドリンクホルダーに入っていたホットココアをくれた。本当はこの時間に甘いものは控えたいのだけど、私のために用意してくれたと思えば断れない。  むしろ、そういう気づかいがスマートで昔から……今でも大好きだ。  今日も家までふたりきり、と浮かれた気持ちは後部座席から聞こえた「お疲れ」という声に打ち消された。 「な……隆也」 「なんだよいちゃ悪いのかよ」 「い、いや悪くはないけど」
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