隣がいい

　せめて少しでも長くこの時間が続けば。そんな私の願いはあっさりと打ち砕かれた。

「はあ、ったくお前んとこ品揃え悪すぎだろ」
「なっ」

　失礼な言葉を吐きながらお邪魔虫がとっとと戻ってきてしまったからだ。

〇

　ホットココアがアイスココアに変わる頃、目標金額を達成した。さっそく休みの日に親と一緒に車を買いに行く。最初は擦ったりぶつけたりするかもしれないからと中古の軽自動車を選んだ。名義変更や最終的な点検などがあるらしく、納車まで１週間程かかるという。

「あれ、アルバイト募集するんですか？」
「ああ。最近小栗さんに頼りっぱなりだったからね。車買ったし、シフト減らすでしょ？」
「えー、まだ考え中です」
「あんまり稼ぎすぎるとご両親の扶養から抜けちゃうからほどほどにね。じゃ、お疲れさん」
「お疲れ様でした」

　車の購入資金が溜まったからといってバイトを辞めるわけもなく、今日も仕事を終えて外に出る。そうしたら店長が大きなポスターを貼っていた。何のお知らせかと聞けばアルバイトを募集するといい、貼り終わった店長は店内へ戻っていった。