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「うん。昨日隆也には言ったんだけどね、俺家を出ることにしたんだ」
「…………えっ」
予想もしていなかった久志くんの言葉に思わず横を見る。久志くんは前を向いて運転しながら、俺さーなんて話を始めた。
「来月から本社勤務になったんだ」
「本社って、東京、だっけ?」
「そう。で、ここから通うにはちょっと時間がかかるから家を出て会社近くに住もうかなって」
「そ、うなんだ」
「だから咲ちゃんの迎え、隆也に頼んでおいたんだけど、もう納車の予定だろって言われて。ああ、そうだったなあってさ」
「……」
「ダメだね、俺。彼女と住めるようになるからって浮かれて。咲ちゃんの話、忘れちゃってたんだ」
「えっ」
またしても爆弾発言をくらって、完全に心が折れた。久志くんに彼女……そりゃあそうだよね。こんなにいい人がフリーだなんて……どうして気づかなかったんだろう。
「……久志くん、彼女いたの?」
「あれ言ってなかったっけ? 大学時代から付き合ってるからもう8年くらいかな」
「そうだったんだ、知らなかった」
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