隣がいい

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「明日もバイトだっけ?」 「うん」 「あー、じゃあ隆也に頼んでおくよ。明日は本社に行かなきゃいけないんだ」 「わかった。ありがとう」 「それじゃ、おやすみ」 「おやすみなさい」  車から降りて、久志くんの車が角を曲がるまで見送る。  結局告白できなかったなとか、久志くんに彼女がいて結婚するなんて、とかいろいろな気持ちが混ざって足元がぐらつく。  それでも何とか明かりのついていない家へ静かに入ったんだ。誰か褒めてほしい。 〇  翌日のバイトはさんざんだった。延滞の電話をかけたら返したはずだと怒られて、DVDが再生できないから返金しろと怒鳴られて……昨日のことも尾を引いて、とうとう泣き出した私を店長は気遣ってくれた。  いつもより1時間ほど早く迎えの連絡をしたのは久志くんじゃない。 「今日早くねーか?」 「うるさい」 「まあいいけど。ちょっとこれ返してくるわ、待ってて」  品揃えが悪いと文句を言う割にはちょくちょく借りてるよね。なんて悪態をつけないくらい疲弊していた。心も体も。
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