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美月・現実
「あっ、またいい所で目が覚めた」
いつからか、ずっと繰り返し中学時代の夢をみている。今の心地よい世界は夢だった。
その夢はいつも同じような内容。私が生まれて初めて好きになった蒼空くんととても仲よしで。けれども実際の過去ではただ一方的に見つめているだけで、憧れている存在だった。
「あんたが悪いんでしょ?」
「おまえだろ」
喧嘩して叫ぶ両親の声が、1階のリビングから聞こえてくる。
「またか、うるさいな」
せっかく夢の余韻に浸ろうと思っていたのに。
私は現実から逃げるように映画をかけ、ヘッドホンを耳にあてる。
ここはリアルな世界。
夢の世界でずっと過ごしていたい。
最近は家でも、ただなんとなく続けている仕事でも居場所がなく、投げられた黒い言葉だけが心に蓄積されていって。もう、何もかもどうでも良いやと思っていた。心に蓋をして生きていれば良いのだと。
まぁ、何をやっても失敗ばかり。駄目な自分だから仕方ないかって。
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