平行線の世界 後悔

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平行線の世界 後悔

 美月がこの世からいなくなってしまった。  それから蒼空は心が壊れてしまい、この街から静かに消えた。  僕は、ふたりと過ごした良い思い出ばかりを沢山思い出した。  思い出す度に、時と場所を選ばず涙を流した。  自分が今までしてきた言動に後悔ばかりした。  もう一度やり直せる世界があるのなら、ふたりを助けられる世界があるのなら、どんなことでもするから行きたかった。  とにかく守りたいと思った。  美月が消えてしまった海の砂浜に何回も来てみた。  遺体は見つかっていないから、もしかしたらここに来たらまた会えるかも知れない。  来る度にそう思った。  僕は砂浜で横になってみた。  気持ちの良い風が顔にかかる。  目をゆっくりと閉じてみた。  波の音が頭に響いた……。  その音はやがて遠くなり、聞こえなくなった。
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