美月の絵

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美月の絵

 美月をみていると、必ず楽しそうにしていることを発見した。  それは絵を描いている時。  美月は人の心を動かせる絵を描ける。  そう思える出来事があった。 それは、美月がうちで僕と僕の両親と一緒にご飯を食べた後のこと。家に帰って来てから、美月は色鉛筆でささっと絵を描き始めた。  ご飯を食べていた時の幸せそうな笑顔をしている僕の両親。  凄く優しい色合いで優しい絵。 「観察していたらね、ご両親の大和に対しての笑顔が優しすぎて、素敵な家族っ!て気持ちになって描きたくなったの」  たったそのひとつの出来事で、両親の笑顔の仮面は剥がれていった。  僕だけがみえていた仮面……。  本当に両親が愛してくれているのかはまだ分からなかったけれど、その絵と言葉のおかげで、偽りだと思っていたその笑顔は本物なのかも知れないなって気持ちに変化していった。  もっと美月の絵が広まれば良いのに。
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