平行線の世界に

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平行線の世界に

「ここにいた! こんな寒いところで寝るなよ!」  起きると駅前のベンチで目を覚ました。  寒い中座りながら眠っていた。でも僕はこの雪景色が幻に思えるほど暖かく感じていた。 「蒼空……探してた。やっと会えた! これって、もしかして夢なのか」 「何言ってるの? 昨日待ち合わせのメールしたしょ。こっちこそ探したわ。寒いのに何で外にいるの? 売店でコーヒー買ってきたけど飲む? これも半分ずつ食べよ」  蒼空は温かいコーヒーと肉まんを半分くれた。  僕がこっちの世界に戻ってきてから少し経った日、知らないアドレスからメールが来た。 “ 俺、蒼空だけど。久しぶり! 明日ヒマ? 地元に帰るんだけど、夜に駅で会おう! ”  連絡がつかなくてどうやって探そうかと思っていたら、蒼空本人から連絡がきた。  そして考え事ばかりしていて、寝不足だった僕は、今待ち合わせ場所でうたた寝をしていて、蒼空に起こしてもらった。 「夢だったのかも…長い夢……」 「えっ? 座りながらウトウトしてただけでしょ?ってか肉まん足りない。お腹空いたから何か作って? 早く大和の家に行こう!」 「うん、今日はハンバーグ作るね」  蒼空の大好きなハンバーグを作って、美味しいって言って喜んでくれる顔がとても見たくなった。
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