好奇心

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好奇心

僕がSNSをしていることが、バレました。それは本当に迂闊だったけど、SNSを開いてボンヤリとしていた時、覗かれたんです。昔から、そう言う背後の視線とかは、怖かったです。なんで怖いんだよ、って思うんだが、後ろめたさがあって、僕はこんな事を良く、平気でしていると自分が末恐ろしくなる時があるでしょう?と思われている方が多分に見受けます。これが本当に悪意だとしたらの話。 オレは今一番心を蝕んでいる会社の人間本人に、仕事中、僕の夢はなんだったんですか?と唐突に訊かれて、僕は何を突然言うのだろうと動揺した。 そう言う話をしてくるのは、多分その日、結構お互いの気心が知れてきた頃だったからだ。 僕は、自分の夢を他人に話したことがあまりない。 そう言う昔抱いて居た夢が、まだ捨て切れずに残って居る。 書く人。 本を書く人になりたい。 ガキの頃の夢だった。それは、本を読む人間だったら、憧れる夢だ。 それが僕の中で未だに信念としてある。願いを叶えたいと言う夢ー。 それは、口に出してみて、初めて叶うんじゃないかな?他人が叶うわけないだろ、とか馬鹿にする事に、なんで従わないといけないんだ?いや、それを甘んじなければならないんだろ? 夢なんかじゃないさ、尾崎豊が創作した五線紙が風に吹き飛ばされて、バイトと創作に追われて居た最中、不意によぎった、疑心。 本当に叶うのかー? 自分自身の夢は、親や世間の目なんて所とは全く無縁の所で、自分勝手にするものだ。 よそよそしくなる必要はない。 仕事の合間に彼が言った言葉は、なりたい自分に突き進んで行くうちに、人ってのは、満たされていくものだ。 家庭環境が良くなかった彼には、若い頃、そう言う夢は抱けなかったと聴いた。 そんな境遇では無理はないですよ、と僕は夢というものが、欲求を満たす段階で、まず前提となる衣食住が、満たされてない中、不可能だと知っていた。 彼は言った。 自分がどう生きるべきか?そんな事を僕は考えていたーと。 それは哲学だな、と返したが本当に重要なのは、夢が叶うかどうかより、自分の方向性が、きちんと前進しているかどうかの方が、進化の兆しがあるかないかの、有無でしかない事に、未来を見ているのではないか?と思わざるを得ない事だ。 それは、生き甲斐ではあるまいか。仕事に生きがいを見出すことは、素晴らしいことだと思う。 サラリーマンにはなりたかねぇと、言ってたのは歌の中の尾崎だが、若者との対話の中で、オレはサラリーマンになるのが夢だとハッキリ言える若者が彼の関わる人間たちの中に、実際居た事は、彼の未来を照らしただろう。 僕は、自分の思い込んでいた考えが、囚われている時、ガラガラと音を立てて崩れていく時、寧ろ、晴々とした感覚を自覚する。それは、自分の願いではなかった、そう気づいたからだろう。 新しい世界が見えたとき、僕は何よりも増して、キラキラした瞳をしていたんだ。
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