14日間

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14日間

それぐらい有れば出来るでしょ? 高価なソファにゆったりと座り込んで男は有るクライアントと話していた。 自分が有名になりたいと言う想いがある彼は、自分という人間が2.5次元系の特殊加工の合成で、自分がさも凄いスーパーマンだと言うことを売り出したい訳だ。俳優なら誰しも一度はトライしたい役だ。自分がまるでマンガやアニメの様な、簡単に吹っ飛ばされてもへこたれず、すぐに体制を立て直し、反撃する。そんなスーパーヒーローの憧れは男だったら一度はしてみたい浪漫だ。 彼が言っていたのは、それぐらい有ればそう言う画像加工は今なら簡単に出来る、そう言っていたのだ。 一体、何故彼が突然そんなことを言い出したのか?それは、仮面ライダーなどの番組が、若手俳優の登竜門になってるのは既に常識だからだ。ソレをオーディションと言うめんど臭い処は、すっ飛ばして、もう出来ますよ?と自作としてネットにアップする、そう言う算段を何処かのパソコン系の専門学校を出た、若い学生に頼み込んでいる訳なのだ。 お金は出すからさ?頼むよ、ね? そう言って、彼は無能な癖に、カネでモノを言わせて居た。 しかし、ソレの何が悪いかは僕にはわからない。依頼しているだけだし、お金を払って頼んでいるのだ。無償依頼とは訳が違う。 自分にできないから、カネで採用して、雇って作ってもらう。そのスタンスには何も間違いがない。その中に如何に邪な(よこしまな)ナニカが有ったとしても、僕はそれは貴方がヤリタイ事、即ち売名行為なのだから、どうぞご勝手に、と想う。白々しいな…と随分冷めた目で彼を見ていたけれど。
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