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『だったら、好きなキャラ同士、男だろうと女だろうと……同じ次元に存在する同士でくっつけた方が幸せになれるなと思って。だって、同じ世界にいるんだから、公式では描かれなかったどこかのパラレルワールドでは実際くっつく可能性があるでしょ。1%以下の確率でも想像の余地はある。でも、“私”を登場させる世界が実際にあり得る可能性は完全な0なのよ。その1と0の差が、私には絶望的に大きなものに思えたってわけ』
という理論を口にすると、腐女子を嫌う夢女子は大抵“じゃあキャラを改悪(この場合同性愛者にすることを言っているのだろう)するのはいいの!?キャラがやりもしない行動をさせるのはいいの!?そっちの方が害悪だ!”と反論してくるものだと知っている。が、オタクの二次創作で時点で、キャラを1ミリも改変していないことなどあり得ないのだ。そもそも夢小説では、存在しもしないキャラに恋をするというイケメンが頻出することになる。場合によっては女性に興味がないストイックなキャラもデレデレになる。それもまた十二分に彼女らの主張する“改悪”と同レベルではなかろうか。
ようするに。このテの議論はするだけ無駄。お互いに剥き身のナイフで切りつけ合うようなもの。あまりにも不毛。瑠子はそれをよくわかってくるからこそ、絶対にこの主張はしてこないと知っている。同じ穴の貉同士、ほどほどの距離感を保って仲良くした方がずっと建設的なのだ。
『何より。いもしないキャラを登場させたら……それだけで、その世界のあるべき物語を捻じ曲げるでしょ?瑠子には申し訳ないけど、夢主とかオリキャラってようはその世界の異物なんだからさ。……かといって、成り代わりとかも私は無理。イケメンのBと結ばれる予定のAってキャラに成り代わって愛されたとして、それって私が愛されたことになんないじゃん。あくまでBが愛してるのは本来のAなんだから。私は、そのAの人格を殺してBを寝取ったようなもんだから』
だから。
最近流行の、悪役令嬢に転生した、系の話も好きではないのだ。
本来の悪役令嬢の人格を、前世の現代日本人が乗っ取っている。成り代わって殺しているようにしか見えないから。まあ、現代日本に存在する乙女ゲームの世界に、何をどうしたら転生することになるのかというのも疑問で仕方ないのだけれど。
『成り代わり系とかは、瑠子も好きじゃないからわかってくれるでしょ』
『まあ、そうだね。成り代わって溺愛されても、あたし自身見て貰えてるわけじゃないもんね。あたしの分身の夢ヒロインが愛されてる方がずっと幸せだし。別キャラのガワ着て溺愛されるってなんか解釈違いっていうか』
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