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学校から歩いて15分。案内をしていた藍の足が止まった。どうやら目的地に着いたらしい。
「ここね、平日の昼間しかオープンしてないの。だから、学校が早く終わる今日がチャンスだったんだ」
目の前には花壇に囲まれた小さな一軒家があった。赤い三角屋根とクリーム色の壁。自然と昔読んだおとぎ話を思い出して、どこか懐かしい気分になった。
アンティーク調のドアにかけられた木製のプレートには、『喫茶店 デイドリーム 開店時間 10:00~17:00 月曜日・水曜日は休みです』と書かれている。
「1カ月前にオープンしたばかりなんだけど、近所の人から評判が高いみたいなんだ。クラスの子も何人か行ったらしいよ。ケーキがすごく美味しいんだって! 朱里、甘いもの好きでしょう?」
甘いものは好きだ。特に苺のショートケーキ。でも、今は藍の心遣いが何より嬉しかった。
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