day dream

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「ね、あの店員さんかっこよくない?」  ケーキセットが届くのを待っている間、藍がカウンターに立っている店員さんを一瞥した。 「もう、藍ってば。彼氏いる癖に」 「それとこれとは話が別。だって、芸能人みたいじゃない?」 「まあ、それは確かに…」 「ほらね、そう思うでしょ? 朱里にだって原君がいるのに」  ニヤリと笑う藍。突然原君の名前を出されたものだから、飲んでいた水が変なところに入りそうになった。 「は、原君は関係ないでしょ…! 同じ美化委員なだけ。別に付き合っているわけじゃないんだし」 「でも、最近仲いいのは本当の事でしょ。昨日も楽しそうに話してたし。今日もメッセージ来たんじゃない?」 「確かに来たけど…」  「お似合いだと思うんだけどなあ」とぼやく藍の声を受け流しながら、原君の顔を思い浮かべる。  今年初めて同じクラスになったクラスメイト。美化委員の仕事をするうちにに、少しずつ仲良くなっていった。  原君は植物や園芸の事に詳しくて、色々なことを教えてくれた。私も花は嫌いではない。夢で見たあの美しい庭園を思い出すからだ。どんな種類が咲いていたのかは思い出せないけれど、とても綺麗だったことは覚えている。原君と話しているうちに何だか興味が湧いてきて、自分でも植物や花の事を調べ始めた。  原君は優しい。特に気にならないと言えば嘘になる。けれど、これが恋なのかは分からない。
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