day dream

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 子どものころに見た夢がある。ずっと昔、まだ小学生くらいの時に見た不思議な夢。  夢の中の私は、綺麗な庭で誰かと一緒にお喋りをしていた。どこまでも澄み渡る青空に、花畑をひらひらと舞い踊る蝶々。その顔も覚えていない誰かが、泣いていた私のために苺のショートケーキを差し出してくれたのだ。  詳しい内容は忘れてしまったけれど、私はその夢を今でも覚えている。何故だかはよく分からない。けれど、しっかりと脳裏に焼き付いているのだ。  時々ふと思い出しては、あれは何だったのだろうと考える。もしかしたら、夢ではなくて現実の出来事だったのかもしれない。近所に同じような場所は見かけないから、旅行にでも行った時のことなのだろうか。そういえば、昔イギリス旅行へ行った時に見た庭園に似ているかもしれない。  子ども時代の記憶なんて、歳を重ねるごとに曖昧になるものだ。だから、現実で起きたことを、勝手に夢だと勘違いしていてもおかしくはない。その逆もまた然り。けれど、私と一緒にいた人は誰だったのだろう。
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