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うん、そうだ。
いっつも妄想してたことをしちゃおう。
何回も何回も、頭の中だけで彼としてきたことを。ほんとに、しちゃおう。
彼はびっくりするかもだけど、一気に私に興味が引き付けられると思う。友香がだいぶリードしてるから、飛び越えなきゃ彼は手に入らない。
そうよ。妄想を現実にしちゃお。
屋上から下を見ると、間宮君が一人で校舎から出てくるところが見えた。私はダッシュで屋上を後にし、猛スピードで階段を駆け降りる。
そして、校門を出ていく彼の後をそっと追いかけていった。
夕日に照らされた間宮君の背中は、相変わらず凛としていて、それを見ているだけで、好きって感情で胸がいっぱいになる。いつから友香が、彼を好きになったのか知らないけど、入学式のあの日、間宮君を遠目に見つけた、あの瞬間から、ずっと好きだった。
間宮君。
私だけの物になって。
私は、少しずつ少しずつ、距離をつめていく。そして……彼の両目に手を伸ばし、そっと塞いだ。
「ダァ~レダ?」
私はドキドキしながら、彼の次の反応を待つ。
立ち止まった間宮君の肩は強ばり、背中が小刻みに震えている。
「あ……っ……」
あの冷静沈着な間宮君が、ひどく動揺してる。
こんな彼、初めて。
私だけが知った間宮君。
貴方だけを見てたよ。
ずっと、ずっと……。
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