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(あっ……)
今、間宮君が、こっち見た!
さっきまでみたいな、斜め横顔も好きだけど、正面の顔も、やっぱりカッコいいー!
深く憂いを帯びたような黒い瞳。その瞳が、離れた場所にいる私を見つめている。
何か物を言いたげな……でも、何かを言う訳じゃなく、言ったとしても、この距離では届かない。
そんな風に視線が交わるのは、ほんの一時で、彼はまた、手にしている文庫本に視線を落とした。
(やっぱり、ドキドキする……)
何度見つめられても、あの瞳には慣れそうにない。
ああ、あと一駅。学校への最寄り駅に、間もなく到着する。彼は、文庫本を学校指定のカバンにしまうと、次に開くドアに向かって、完全に背を向けた。
そして、アナウンスと共に、電車は最寄り駅で停車する。間宮君の背中を遅れて追うように、私も電車を降りた。
ここからは、学校まで徒歩で向かう。自転車に乗らなくても行ける距離。私は、もちろん間宮君についてく。
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