貴方だけを

5/14
前へ
/16ページ
次へ
(はぁ~) ああ、退屈×100。時は、4限目。 古文……外国語かってくらい意味が分からない。ご飯もまだなのに、あくび出ちゃう。 間宮君を見れない時間は、私にとっては、無意味な時間。……って、前に友ちゃんに言ったら、「アンタ、学校に何しに来てんの?」って突っ込まれたけどね。 一番後ろの席から見ると、友ちゃんは結構真面目にノートを取ってる。 私なんて、間宮君のことばっか考えすぎて、この数ヵ月ほど、ろくにノートすら取ってない。次のテストは、明らかに死亡フラグが立つ予感が止まらない。 さあ、こんな訳のわからない外国語(本当は日本語だけど)で退屈な時は、妄想劇場の始まりよ! 私の1メートル先を行く間宮君。 私は、少しずつ少しずつ、距離をつめていく。そして……彼の両目に手を伸ばし、そっと塞いだ。 「だ~れだ?♪」 私はドキドキしながら、彼の次の反応を待つ。 彼は立ち止まって、くすりと小さく笑った。 それから、自分の両目を塞ぐ私の手を優しくつかんで、下ろす。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加