貴方だけを

6/14
前へ
/16ページ
次へ
「麗奈れいな、だろ?」 私の両手を握ったまま、振り返る間宮君。 眼鏡の奥の切れ長な瞳が、私だけを優しく映している。 「あ……っ」 彼の胸の中に吸い込まれる私の体。 「イケナイ子だな」 私を正面から、見つめる間宮君が、握った手をそのまま引き寄せる。 「ねぇ、間宮君」 「何?」 「間宮君は……私の物だよね?」 私の質問に、間宮君の唇が、甘く歪む。 「分からないなら……教えなきゃならないな」 間宮君の右手が、私の手を離すと、代わりに、ゆっくりと私の口許に伸びてきた。 そして、私の唇を彼の指先がそっとなぞる。 「麗奈」 「間宮君……」 私は、高鳴る鼓動に、静かに瞳を閉じた。 ああ、私、間宮君と……。 ウフ、ウフフフフフフフフ……ッ!!
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加