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姫薔薇さま
都会の一等地にそびえ立つ、私立紅薔薇高等女学院。
そこに、歩くだけで圧倒的な存在感を放つ一人の女子生徒がいた。
「生徒会長の姫薔薇さまよ」
「素敵、今日もお美しいわ」
「あの、姫薔薇さまというのは……?」
「あぁ、貴女は転校してきたばかりでご存知ありませんわよね」
「姫野いばらさま。一年生にして生徒会長をお務めになられる方よ」
「い、一年生っ? 私たちと同じ?」
「えぇ。蕾のように引き締まりながらもふわりとした御顔、時折花開かせる愛らしい微笑み、傷一つない白い肌、程よく引き締まった御体……etc」
「挙げ出したらもうキリがないわね」
「容姿だけではないわ。テストでは常に全教科満点で、全国模試でも常に上位三位以内に入っていらっしゃるという話よ」
「しかも、あの可憐な御姿からは想像もできないくらい身体能力も高くいらっしゃるものね。天は二物を与えずなんて言葉も裸足で逃げ出す……あの御方はまさに天使だわ!」
(……当然よ)
耳に入ってくる称賛の声も、歩く度に向けられる羨望の眼差しも、姫薔薇こと姫野いばらにとっては当たり前のことに過ぎない。
何故なら、それに見合うだけの努力をしてきたから。
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