ワクチン接種

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〈大規模集団摂取は翌日より受付開始〉 ああ、そういうのもあるのか。翌日、大規模集団摂取の予約を取り付ける。アッサリしたものだった。集団アクセス特有の動作が重くなることもなく完了。しかも数日後と言うハイスピード展開。知人の予約した時は数週間後とかインターバルあったのに何なのだろうか。 大規模集団摂取の会場だが、我が家からは遠い。車を出せばいい話なのだが、帰りの道中で何らかの副反応が出て事故を起こしたくない(今事故っても入院も出来やしない、うかつに病気にもなれない…… とんでもない状況だなヲイ)から市が出しているシャトルバスを頼ることにした。 密が心配されるが、非感染者を輸送するバスを密にするはずがないだろう。近所の飲食店でも席一個空けの飛び席にするぐらいだ。このご時世でバスを満席にするなら回れ右でタクシーでいいだろうかとも考えていた。 そして迎えた一回目摂取の日。朝一番のシャトルバス。この地方の私鉄が運営するバス会社のバスを貸し切りにしたそうな。当然、無料。運賃に換算すると500円ぐらいの距離を無料。ワクチンも本来なら2000円だか3000円前後の値段がかかるのに無料。ありがたい限りです。 バスに搭乗しようとステップに足をかけた瞬間におそらくアルバイトと思われる市の職員が私に声をかけてきた。 「あの、接種券の方の拝見を」 ああ、今回は摂取の間違いとかは厳禁だからか個人確認はこの段階から始まっているということか。こうやって何回も見せることになるから、一々鞄の中に届いた封筒ごと入れていると一々出すの面倒くさくなるので、裸で鞄の一番出しやすい場所に接種券は入れておいた方が楽だぞw 席に座る。普段が電車か車なのでバスに乗るのは久しぶり。何年ぶりかもわからない。普段なら立錐の余地もない程に人で埋まったバスも今回ばかりは人が飛び席で疎ら。歯抜けのスカスカ状態。正直、この方がありがたい。 近頃は「ケホン」と軽く咳払いをするだけで周りが一斉に注目するような世の中だ。こんなバスの中で「ゲホンゲホン」と咽ようものなら窓からの飛び降りての途中下車も考えなくてはいけないぐらいに世はコロナで荒んでいる。 もう今どきは珍しいMP 3プレイヤーで音楽を聴く。聴いているのは加古隆の「パリは燃えているか」その日の天気は生憎の曇り空でどことなく街中も白黒に見えて陰鬱になってきたぞ。脳内で山根基世の淡々としたナレーションまで流れてきそうだ。 NHKで映像の世紀「人類の危機」って昔やってましたけど、何十年後かに再構成したものが作られたら「パリは燃えているか」をBGMにして新型コロナウィルスによる未曾有の危機の映像が流れるかもしれませんね。
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