第一ステージの開幕だ!

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 それから俺は、クラスメイトに話を聞いたり、怒りを覚えた瞬間をメモしたりして、幾つもの怒らせ候補を集めていった。無論、実施できるものは実施した。    まず、AIINのメッセージを既読無視した。しかも、早く返して欲しいと思うような内容の時にだ。  しかし、無視から一時間後、届いたメッセージには〝ミカに聞いたからもう良くなったよー、忙しいとこごめんね〝という報告と不必要な謝罪が連ねられていた。  脳内どうなってんねん……と、俺はただ机で突っ伏し敗北を味わった。    それから、約束をすっぽかしてみたり、頼まれたジュースとは違うもの―しかも嫌いな味―を渡してみたり、苦手な虫のおもちゃで悪戯したりしたが、全て惨敗だった。  怒るどころか、上手いこと解釈されて笑顔でおしまい、という結果ばかりが連発した。  ここまで来ると、本当に怒りの感情がないんじゃないか、むしろ実はロボットでした、なんてオチが待っているんじゃないか、などとまで考えてしまった。    しかし、一度始めたからには目的を達成するまで止まれない――いや、止まりたくはない。 「仕方ない、第二ステージだ……」  バツだらけのリストを見つつ、キノコの怒っている姿を想像した。  まぁ、上手くイメージ出来なかったけど。
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