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第二ステージで決めるぜ!
「キノコはさ、いつも人気者で良いよなー。俺も人気者になってみたい」
「と、突然どうしたの?」
「だってさ、いつも女子からニコニコされてさー、そんなの男子の夢じゃん」
心にも無いこと――ではないが、普段は口にしようとも思わない僻みを飛ばしてみる。これも数ある意見の一つで、クラスメイトの女子がマジで腹立つと言っていた。
「う、うーん……そんなに良いものでもないよ?」
まぁ、毎度あそこまで構われるとウザくもなるだろうなーと内心頷きながら、プラン通りの反応で返す。
「そういうこと言っちゃうんだー!」
もし俺が同じ立場なら、お前に何が分かるんだ!と逆切れするだろう。
「ご、ごめん……でも」
「でも?」
「俺は二人とゆっくり過ごせれば幸せだなって思うから、たくさん話しかけられるのもあんまり嬉しくないなって……」
「……ヴッ」
ピュアすぎる意見に、胸が突かれる。顔を両手で覆い、何とも言えない表情を隠した。
「えっ、大丈夫!?」
「大丈夫です……」
――それから、全力で意見を否定してみたり、テストの点を何気に弄ってみたりと、かなりの精神攻撃を仕掛けてみたが全く効果がなかった。
最悪、喧嘩のような形で見られればと思っていたのに、それさえ叶わなかった。意見はすぐ飲み込まれるわ、嗤ってみれば寧ろ楽しそうにしているわで、想定外の反応に驚かされるばかりだった。
ただ、さすがにこれらの方法は、俺の方が心の痛さに折れそうになった。
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