第二ステージで決めるぜ!

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「それでキノコはどうしたいんだ」  自転車置き場にて美和が問う。栄都は教師に悪戯の件で呼び出されていたため、場には二人しかいなかった。 「うーん、やめてはほしいけどガッカリはさせたくない……だからやっぱり怒る演技を教えてほしいんだけど……」 「それはなぁ……」  実は、二人は裏でプロジェクトを終わらせる方法を探っていた。美和は全部吐露するのが早いと言ったが、椎名が肯定しなかった。  そこで第二の候補である〝怒った振りで満足させる〟との方法を実施しようとしたが、椎名の演技があまりに子供騙しで行き詰っていたところだ。 「諦めてネタバレしようぜ」 「うーん」 「俺がしようか」 「うううーん」 「にしても、ハチはハチでいつまで続けるつもりなんだか」  罪悪感の中で嫌がらせをするなど、互いにデメリットしかないと猿でも分かるだろう。  それでも尚、続けるところが美和にとって理解不能で、且つ面白い部分でもあったのだが。 「アイツも頑固な所があるからな。厄介と言うか面倒というか。そんなんだからアイツは」 「俺、友達が友達の悪口言うの聞きたくないな」  不意に見せた真剣な表情に、美和は一瞬口を噤む。ただ、こういう反応も初めてではない。 「ごめん。軽口だった」 「あ、えっと違うんだ、大丈夫。ミカが本気じゃないのは分かってるよ! 根っこが優しいのも知ってるから落ち込まないでー!」 「落ち込んでない……」  こんな奴を怒らせようとするなんて、ハチには一生掛かっても出来ないだろうな。  美和は廊下に近付く足音を感知し、弁当の包みだけ開けた。
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