愛していたかった。

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濁りを一切知らない彼は、きっと心で今も尚あの子が生きていることを肯定し続けている。だからあんなに綺麗に笑えるんだ。彼の心の支えの存在を否定したら、彼自身が崩れ落ちてしまうだろうと考えて自分が耐えてきたけれどもう限界だった。 あんなに悲しく切ない笑顔になんの意味もない。どんどん彼があの子に蝕まれていくだけだった。このままでは彼があの子に殺される気がした。いつ「あの子の元へ行く」なんて言い出すか分からない。そう言っても不思議じゃなかった。 綺麗な笑顔を見て心を痛めるのはもう嫌なんだ。目を覚まして欲しい、お願いだ。今を見てほしい。 「…知ってるよ」 彼はぽつりと呟いた、涙と共に。 その涙は彼の感情全てを語っていた。 途端にその涙が悲痛の意味を込めた。 ~完~
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