204人が本棚に入れています
本棚に追加
4
昼寝から目覚めると、窓から見える日は傾いていた。
もう少し早く起きるはずだったのに、さすがにゼミ合宿から直行はきつかったか、と思う。
けれど、合宿先がここに近いと知った時、どうしてもそうせずには居られなかった。
明日の天候を心配して母に止められても、祖母はいいと言ってくれたからと。
時計を見ると4時前で、迷ったが腰を上げて、居間でテレビを見ていた祖母に声をかけた。
「ばあちゃん。ちょっと、外行って来る」
「これから?もう暗くなるよ」
「明日は天気悪いっていうから。ちょっとその辺歩きたいだけだから、すぐ帰るよ」
バス停からこの近辺までは、昔は他にも家があったので、砂利道ではあるけれど車が通れるようある程度整備はされている。
が、その先は誰の手も入っていないために、家の裏手にあたる神社への道は草木は伸び放題で、知らなければここに道があると分からないくらい、膝が隠れるほどの草に埋もれていた。
10分ほど上っていくと、突き当たりに石を積んで作られた階段と、風雨に表面の削れた石碑が現れた。
しゃがんで石碑に目を凝らしたが、どれも磨り減っていて読める文字はなく、溜息をついて石段を上り始める。
最初のコメントを投稿しよう!