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「何がいいんだかな」
「がっついた男はバレるんだよ。きっと。だから鳴瀬は好かれるんでしょ」
今の言葉には裏がある。
告白された前の二人とは、断る理由が無いので付き合ったが、手を握ることすらなく別れて、高校生の時は相手が周りにも喋って、女に興味がないとか色々と噂を立てられた。
が、自分としては、至ってノーマルだと思っているし、同性に性欲を覚えたこともない。
けれども、なぜだか目の前の相手に触れたいという欲求は起こらなかったというだけなのだ。
「お前ホントに、実は男が好きとかじゃないの?」
「ちげーよ」
「ふーん……まあ、今は恋愛自体に興味薄いやつも居るみたいだし。それもアリじゃないの」
小山はビールを持って立ち上がる。
「鳴瀬は、飲み戻らないの?」
「もともと飲めねーし。もう寝るよ」
「早っ。……あ、でも、そっか。明日俺らと帰るんじゃないんだっけ」
「ああ」
「おばあちゃんち行くんだっけ。近いの?」
「つっても、在来線とバス乗り継いで1時間くらい、かな。最寄りのバス停まで」
「ひえ。俺なら早く帰って爆睡したい」
だったら酒なんて飲まずに早く寝ればいいのに、と飲めない性質としては思う。
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