カノジョよりもゲームが好きな理由

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カノジョよりもゲームが好きな理由

クラス替えが行われたばかりの2年1組の教室で、 「(ひめ)ちゃんと離れちゃったよぅ……」 自分の机に突っ伏してめそめそと泣いている女子生徒が1人。 彼女の名前は、梅本(うめもと) 希美(のぞみ)。 「お昼休みは、梅ちゃんの所までお弁当持って食べに来るから」 そんな彼女の頭を優しく撫でているのが、頼斗の双子の姉である桐生(きりゅう) 姫花(ひめか)。 姫花は、墨を流したかのような艶やかな黒髪を真っ直ぐ腰まで伸ばし、まるで宝石のように(きら)めく(あお)い瞳を携えていて―― 頼斗とは双子だとは言え、二卵性双生児であるため、あまりというか、全く似ていない。 頼斗たちの父方の祖父が黒髪蒼眼のドイツ人だと聞いたことはあるが、会ったこともなければ名前も知らない。 その外見的特徴だけが、父と姫花にのみ、脈々と受け継がれている。 そして、この姫花も頼斗と同じように校内での異名がある。 それは、“絶世の美少女”。 頼斗は校内一のイケメンだと女子に騒がれているが、姫花も姫花で、校内一の美少女だと騒がれている。 そして、この2年1組は頼斗のクラスでもあり―― 今、この教室には校内一が2人も揃っている状態なわけで。 絶世の美男美女の顔を拝もうと、2年1組の教室には他のクラスからの見物人も押し寄せていた。 人から見られることに慣れている姫花は、周りを気にしていないが、 「……」 自分の教室なのに落ち着くことが出来ないクラスメイトたちが気の毒で、頼斗はその様子を呆れた顔で眺めていた。
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