カノジョよりもゲームが好きな理由

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「姫花、そろそろ自分の教室に戻れよ」 希美の隣の席に座っていた頼斗が、すぐ近くにいた姫花へと声をかけた。 姫花のクラスは、隣の2組だ。 「だって、梅ちゃん1人に出来ないし……」 姫花は困った顔をした。 希美が、姫花の制服の袖を掴んで離さないのだ。 「梅本。俺が隣の席なんだから、寂しくないだろ?」 頼斗は、希美とは姫花を通じてそこそこ仲がいいつもりだった。 頼斗の台詞に、 「いいなぁ……」 「私も、桐生君にあんなこと言われた〜い」 他の女子たちがキャーキャーと騒いだ。 それが、普通の女子の反応のはずなのだが、 「……」 希美は何故だかムスッとした。 「姫ちゃんがいい」 「……」 頼斗が付き合ってもいない女子から、突き放すような態度を取られたのは、希美が初めてだった。 「姫ちゃんの方が、桐生君とは比べ物にならないくらい綺麗な顔してるもん」 「……え? 顔の話!?」 今の話とどう関係あるのかと、頼斗は面食らった。 第一、誰かと顔を比べられて負けたことなど、若い頃の父親くらいしかなかったのに。 頼斗にとって、父は目標だ。 父は容姿に恵まれ、若い頃はモデル業もこなしていて、現在はこの街で一番大きな総合病院の眼科医をしている。 今も昔も、女性にはかなりモテるのに――
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