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希美の傷
頼斗と希美は、もう一度向かい合ってテーブルに着いた。
「あ、コーヒー淹れ直す?」
希美が慌てて頼斗のカップを取ろうとして、
「いや、いいよ」
頼斗はそれを、手で優しく制した。
「梅本のこと、聞かせて」
そして、希美の目を真っ直ぐに見つめた。
「私がなんでこの部屋で一人暮らしなんかしてるのかっていう話からなんだけど……」
「うん」
それも気になっていた頼斗は、小さく頷いた。
何を聞かされても、全て受け入れようと思っている。
「あのね……」
希美はまた溢れそうになる涙を堪えながら、頼斗にぽつりぽつりと語り始めた。
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