希美の傷

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「え? どっちなのよ?」 希美は呆れたように頼斗を睨んだが、 「えっ?」 頼斗の顔が赤く染まっていることに気付いて、目を丸くした。 「桐生君……?」 「……眼鏡かけてない希美がめちゃくちゃ可愛いから……俺以外にも、希美のこと狙うヤツが出てくるかもしれねぇ」 「……」 今度は希美が、頼斗の真っ赤な顔をまじまじと見つめた。 誰もが見惚れてしまう程の、その整った顔をじーっと見つめながら、 「桐生君ってせっかくのイケメンなのに、物好きだよね」 思ったままをぽつり。 「……俺の顔と関係あるの? それ」 呆れた顔を向けてくる頼斗は、自身の顔がいいことを否定しない。 まぁ、否定されたところで嫌味にしか聞こえないので、それでいいのだが。 「私のことなんて、誰もいいとは思わないよ」 「俺がいいと思ってる」 真顔で自分の顔を指差す頼斗に、 「だから物好きだって言ってるの」 希美は溜息をついた。 「姫ちゃんくらいの美人だったら納得出来るけど」 「姫花? なんでアイツあんなモテるんだろうな? 同じ男として、何に惹かれてるのか意味分かんねぇよ」 姫花の名前を聞いた途端に、顔を(しか)める頼斗。 それは多分、姉弟だからそう思うだけなのだろうけれど。 「俺は、希美が一番可愛いと思う」 頼斗にそんなことを言われて、嬉しくないわけがない。 「……ありがと」 希美は照れくさそうにはにかんだ。
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