あの娘の溜め息

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ニ 小さい頃からいじめられっ子だった『ボク』は、何をやっても駄目な子だった。スポーツも出来ない。親が通わせようとした野球教室ではバットを振ることもできず退団。 勉強も得意ではなく、暗記だけはできたものの、同級生のいじめっこからすぐ忘れるんだろ!馬鹿なんだからさ、と言われてから不登校になった。その後、引っ越すことになった。 中学からは、新しい学校での生活が始まった。最初のうちは仲良くやっていたものの、『ボク』の人見知りと無力さが癇に触ったのかは知らないが、またいじめが始まった。 中学校では、それまで話をしていた人達がいきなり無視されたりした。こんなことをされて、勿論腹が立った。けど、何もできなかった。 何度死にたいと思っただろう。 そしてなんとか中学校を卒業し、現在に至る。ボクをいじめれいた奴らとは全く別の高校に進学した。 現在は数少ない友達もいる。こんな何も持っていない空っぽの僕に希望を与えてくれたのが彼女だった。 入学して間もない頃は当然友達などおらず、1人でいる日が続いていた。ある日『ボク』が休み時間に本を読んでいたとき、誰かが机の前を通ったような気がした。 一瞬そう思ったが、目は本の方向に向き頁を捲った。 しかし、影は止まったまま動かない。文字が影で読みずらい。思わず『ボク』は前を向く。 そこにいたのは茶髪で前髪を揃えたマスク姿の彼女だったのだ。
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