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立ち上がった先生は私の前まで歩いてくると、ぴたりと立ち止まった。
「三波葉月さん」
先生に名前を覚えられているとは思わなかった私は、驚いて、びくっと立ち上がった。
「ああ、驚かせてごめんね。ちょっと用事があるから、次の授業が終わったら、一緒に来てくれるかな」
先生が私に用事?身に覚えはなかったが、ここは従うしかないだろう。
「はい。わかりました」
すると、上條先生は
「じゃ、後でね」
と言うと、教壇の方に戻って行った。
何か、先生に呼ばれるようなことをしただろうか。毎週、授業の後に出すレポートを、休んでいた間は出せなかったから、そのことか。でも、レポートを毎回出さない学生なんて他にもいそうなものだし…。
どこかうわの空で授業を聞いているうちに、授業は終わってしまった。
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