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面倒くさそうに雑な返事をしてきた彼の言い分が可笑しくて声を出して笑った。異常事態だが、確かに今ではもう普通の事になっていた。変わらない日常という意味での普通。自分たちに直接害はないという意味での、普通の日。清郁にとってはその“普通”である影の存在よりも彼女の出現の事の方がよっぽどの普通ではない日常の始まりであった。クラスの清郁以外の人々も彼女の美貌に気づき始めていてチラチラと様子を伺う者が少なからずいた。背筋が程よく伸びていて姿勢がいいからか、凛とした印象の彼女は、ただ顔がきれいだとかスタイルがいいとかだけじゃなく、纏う空気感が魅力的だった。美少女と言うにはどこか落ち着きが勝る、きれいな女性、と言うのが正しい気がする透明感があった。
「あれ、どう思う?」
「どうも何も何だか正体よくわかんないし」
「あぁ、そっちじゃなくてあっち」
「どっち?」
「転校生」
「特に何も」
「かわいいよな」
「……俺は興味ない」
「そう?」
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