マジックオルゴール

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[注意事項]  一つのマジックオルゴールにつき、ご利用できるのは一回のみとなっておりますので、同じマジックオルゴールで二回以上ご利用しないでください。  ご返却は、このマジックオルゴールが届いてから一週間以内となっております。  これらのお約束が守られなかった場合、マジックオルゴールに込められた魔術の反動が、お客様へ悪影響を及ぼす恐れがありますのでご注意ください。  願いは一つだけ……、サイトにもそう書いてあった。  二つ目の願いをする時は、最初のオルゴールを返却したあと、新たにレンタルし直すしかないらしい。  まずは、これが本物かどうかを確かめる必要がある。  琴羽は使用方法に記載されている手順通りに願いを込めていく。    最初に、願いを書いた小さな紙を用意する。  次に、オルゴールのネジを巻いてフタを開けると、心が洗われるような美しいメロディーが鳴り出した。  そのメロディーが鳴っている間に、願いを書いた紙を折り畳んで、そこへ入れてフタを閉める。  あとは、明日を待つだけだ。  琴羽は小さなオルゴールに手を乗せると、願いが叶うよう祈った。  日曜日。  朝、起きるとすぐに、オルゴールのフタを開けた。  メロディーの続きが鳴り出す中、そこから取り出した紙を広げてみると、書いたはずの文字がすべて消えていた。  願いを込めた翌日に文字が消えていると、数日以内に願いが叶うと説明書にもあったが、それを目の当たりにした琴羽は、淡い期待を胸に今も鳴り続くメロディーを最後まで聞いた。  月曜日。  会社の廊下を歩く琴羽の向こうから、平林が姿を現した。  胸を躍らせながら距離を縮めてくる平林をチラリと見ると、当の本人は手にした鞄を覗きながら何かを探しているようで、琴羽の存在に気付いてもいない。  二人がすれ違うその時、ようやく探し物が見付かったのか鞄から書類を取り出そうとした平林は、身体のバランスを崩して琴羽の肩とぶつかってしまった。 「あっ、すみません!」 「……いえ」
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