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金曜の飲み会には、総務の女性社員達もやって来る。
あれから総務の人達に飲み会のことを話した時、みんなは二つ返事とともに、平林を目当てに意気込んでいた。
賑やかな飲み会で、地味で口下手の自分は、また平林と話をすることができるだろうか?
これをすぐに返却して、また新しいのをレンタルすれば……。
いや、それではダメだ。
今からオルゴールを返却しに行って、再注文したとしても届くのは……四日後の金曜だ。
それでは間に合わない。
琴羽は説明書の注意書きへ目をやった。
ゴクリと喉を鳴らし、しばらく悩んだものの覚悟を決めて紙にペンを走らせる。
悪影響といっても、たかが知れているだろう。
それよりも今、大事なのは……。
願いを書いた紙を折り畳み、オルゴールのネジを巻いてフタを開ける。
メロディーが鳴り始めてもいまだ迷っていた琴羽は、深呼吸をしながら勇気を振り絞った。
紙を入れてフタを閉める。
もう後戻りはできない。
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