金目鯛の煮つけ

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目を開けると、誰かが傍に立っていた。その人が差し出すのは冬美のスマートフォン。 「わっ、す、すみません!」 一瞬だが眠ってしまったらしい。手から力が抜けて、スマートフォンを取り落したのだ。 冬美はお礼を言おうとして顔を上げた。 「おや、どこかで見たことがありますね」 「は、はい?」 その人がにこりと微笑む。30代前半くらいの、サラリーマン風の男性。すらりと背が高く、ストライプのシャツにサマージャケットがよく似合う。 優しそうな雰囲気と、明るい目もとに見覚えがあった。 「た……舘林課長!?」 嬉しそうにうなずくその男性は、部署は違うが同じ会社の社員――仕事はできるが、ちょっと変わった人と噂される館林課長だった。
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