金目鯛の煮つけ

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まあ確かに、間宮課長のひねくれた性格から考えると――そんな気がするような、しないような。 「悪気はないのですよ、きっと」 「はあ」 ほのぼのとした雰囲気が漂い、なんだかほだされてしまった。 「そんなわけで、道端で泣いているのが野口さんだと分かりました。きみは立ち去ってしまったが、僕は家に帰ってからも気になって、間宮さんに電話してみようと思ったのです。仕事で何かあったのではないか、と」 「えっ、間宮課長に?」 そんな話をしたら、また余計な詮索をされてしまう。焦る冬美に、課長は首を横に振った。 「電話はやめました。ちょうどそのとき、アイドルの誰かが結婚するというニュースがテレビに流れたからです。スケキヨ、という少々古風な名前に聞き覚えがある。間宮さんがきみについて語ったとき、耳にした名前だと思い出し、なんとなく理解したわけです」 「……そうだったんですか」 推しロスで泣いていたのを、この人は察したのだ。しかも会社をやめたいとまで思い詰めたことも。 (だから白浜で、あんなにも寄り添ってくれたのかな……あれっ、でも……) 冬美はふと、ひとつの可能性を考える。が、すぐに打ち消す。まさかそんなこと、ありえない。
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